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販売職から店長、そしてMDへ
ブランド愛が導いた
キャリアチェンジ
梶原 佑華[A.P.C.]
PROFILE ~これまでの経歴~
フランスでA.P.C.に出会い、帰国後アルバイトに
A.P.C.との出会いは、フランス留学中。日本から持参した服が街になじまず、何か買おうと訪れたのがA.P.C.でした。学生には高価なブランドなので、せめて1着ぐらいと思ってショップに足を踏み入れたとたん、空気感やスタッフたちの醸す洗練された雰囲気に魅せられてしまい、「大人になったらこういう服が似合うようになりたい」と憧れたのがすべての始まりでした。帰国後はどうしてもA.P.C.でアルバイトをしたいと考え、思い切って地元・中部エリアのショップに履歴書を送ったところ、運よく雇っていただけることに。しかし、卒業後は公務員として働くことになり、いったんは一A.P.C.ファンに戻りました。

公務員を経て、不思議なご縁で再びA.P.C.販売職に
公務員はやりがいのある仕事でしたが、ファンとしてA.P.C.30周年イベントのファンミーティングに行ったことで人生が変わりました。創業者のジャン・トゥイトゥさんに初めてお会いし、温かく飾らない人柄に心から感銘を受けたことや、その場にいたスタッフやお客様が輝いて見えたことから、A.P.C.が自分にとって一番心を動かされるものだという確信が生まれたのです。自分に正直になって、同じ「好き」を分かち合える人と仕事がしたいという想いがわき起こり、転職を決意。ちょうどそのタイミングで.A.P.C.から復帰のお誘いをいただいて、不思議なご縁を感じ、鳥肌が立ちました。それで迷わず復職し、しばらくして店長に。販売職としてブランドを表現できることが嬉しく、コロナ禍で先の見えない不安に悩みつつも、スタッフと「友人の家のように居心地のよい場所」づくりを楽しめていました。そんな矢先、本社勤務のお話をいただきました。

まったく予想していなかった本社MDのオファー
販売職として充実した毎日を送っていた私にとって、本社勤務のお話は、まさに青天の霹靂でした。実は以前、たまたま出張で来店した社長から昼食に誘われ、留学時代からの入社の経緯をお話ししたことがありました。そのとき、さらりと本社への異動に興味があるかと聞かれたのですが、今の仕事に満足しているので、ここで今後も頑張っていきたいと伝えていました。ところがその1年後、「君は自分の好きなものをパワフルに追求できる人。これからのA.P.C.を一緒につくりましょう」とのお言葉をいただいて......。とても驚きましたが、意外にもあまり悩まず、新しいステップへのチャンスをもらえたのだと捉えて上京を決めました。今は本社チームに招いてくださったことを本当に感謝しています。

MY WORK ~現在の仕事内容~
MDはブランドの魅力の発信源
A.P.C.のMDはチーム制で、メンズウェア担当、レディースウェア担当のほか、靴、バッグ、ウォレット、ビジューなどを扱うアクセサリー担当に分かれており、私は2023年からアクセサリーを担当しています。業務内容はシーズンごとの販売戦略の立案や商品の選定、展示会やプロモーションで取引先や販売スタッフに商品展開をプレゼンすることなどです。販売スタッフがお客様に対してブランドや商品の魅力を発信するのに対して、MDはその発信源という感じでしょうか。本国とのやり取りでは、学生時代に培ったフランス語力も活かせています。数値の責任から世界観を伝えることまで幅広く関わる職種で、以前よりハードルが上がった気分ですが、努力したぶんだけ成果が出る仕事だと感じています。MDとして数字を伸ばしてくことはもちろん、A.P.C.というブランドがこれから先も残っていくためのファンづくりの役割も担えたらと思っています。

TURNING POINT
~仕事上でのやりがい、喜び、苦労など~
A.P.C.愛が、キャリアチェンジを乗り越える原動力に
アルバイトの頃はまだ学生で、与えられた仕事をひたすら早く正確にこなすことだけを重視していました。しかし販売職に復帰してからは、全体に視野を広げる必要性を感じ、自分がいいと思ったことを自分一人で終わらせずに周りに伝えていくこと、周りを楽しませて皆で「A.P.C.っていいよね」と言える環境をつくることを心がけていました。本社に異動してからはまったく違う業務に変わり、壁にぶつかることもありましたが、とにかくわからないことは質問し、次にまた快く教えていただけるよう、その都度感謝を伝えるようにして、MDの仕事を学んでいきました。現在は、昔からA.P.C.に携わっておられる、様々な先輩方の類い稀なるセンスや働き方に刺激を受ける毎日です。そしてこれまで私を惹きつけてやまなかったA.P.C.の魅力を、お客様一人ひとりに直接アウトプットするよりもずっと広く拡散できるMDの業務にやりがいを感じています。店舗からの生きた意見にも耳を傾けてさらに広い視野を持ち、より多角的に情報収集をしてブランドの価値を守っていきたいと考えています。
10:30 | 出社 |
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11:00 | 商品資料作成 |
14:00 | 昼食 |
15:00 | ミーティング |
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17:00 | 社内対応業務 |
19:00 | 退社 |
MY FUTURE ~今後の目標~
MDという仕事は売上を確保していくための商品企画力や販売戦略を練るスキルが求められ、私も現場に入り身をもってその重要性を感じています。でも一番大切にしたいことは、A.P.C.が体現している世界観を次の世代へつなげていくことです。A.P.C.は単なるファッションブランドではなく、音楽や映画などのカルチャーを背景に持ち、そのエッセンスを取り入れながら、無骨にブレることなくものづくりを続けてきたことが魅力であり、強さでもあります。それを自分のフィルターを通して伝え、誰かの人生が少しでも前向きになるといいなと考えています。ルックはアパレル業における実績を基に、歴史あるブランドを大切にしながら、新たな分野にも挑戦する会社、そして熱い気持ちを大切にする会社です。男女がフラットに仕事をし、ライフプランを考えながら働くための制度も整っています。皆さんも面接では「好き」という気持ちをまっすぐに伝え、未来につなげていただけたらと思います。


WORK STYLE
仕事をする上でのこだわり

ジャン・トゥイトゥを感じるものたち
左から、30周年記念イベントでサインをしてもらったジャン・トゥイトゥ氏の著書『A.P.C. TRANSMISSION』の和訳リーフリット、A.P.C.の行動指針「Behavior Guide」、30周年イベントで手渡したファンレターの返信として送られてきた手書きカード。どれも折にふれて読み返し、ジャン氏の人柄やブランドの原点を思い起こしています。特に手書きカードは、公務員時代の一ファンでしかなかった私に丁寧な返事をしていただき、その温かさに感激しました。私が転職を決めるきっかけになった宝物です。