社長挨拶(株主の皆様へ)

 株主の皆様におかれましては、平素より格別のご支援を賜り、心より厚く御礼申し上げます。

 当社グループは、「お客さま第一主義」の基本理念のもと、お客さまに満足していただける商品やサービスをご提供することによって、持続的な成長と安定的な収益を実現し、更なる企業価値向上を図ってまいります。

 株主の皆様には、今後とも一層のご指導ならびにご鞭撻を賜りますようお願い申し上げます。

代表取締役社長 多田 和洋

2022年12月期の業績の概況について

 「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日。以下「収益認識会計基準」という。)等を当連結会計年度の期首から適用しております。この結果、前連結会計年度と収益の会計処理が異なることから、以下の経営成績に関する説明において増減額及び前年同期比(%)を記載せずに説明しております。
 また、当連結会計年度より、退職給付債務の計算方法について会計方針の変更を行っており、遡及処理の内容を反映させた数値で前連結会計年度との比較・分析を行っております。

 当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の再拡大はあったものの、行動制限の緩和等により経済活動の正常化が進み、景気に持ち直しの動きが見られました。しかしながら、ウクライナ情勢の長期化や資源価格高騰に伴う物価の上昇、急激な為替の変動など先行き不透明な状況が続きました。

 当アパレル・ファッション業界におきましても、3年ぶりに行動制限のないゴールデンウィークや年末年始を迎え、お客さまの外出機会が増加したことに加え、インバウンド消費の復調など総じて回復基調で推移いたしました。

 このような状況の中、当社グループは、経営環境の変化に対応すべくEC事業の強化に加え、店舗での販売にも注力いたしました。国内においては、不採算事業の廃止や不採算店舗の閉鎖などの施策も推し進め収益性の改善に取り組む一方、新型コロナウイルス感染症の行動制限の緩和が進んでいる海外では、積極的な事業展開を推し進めて売上の増加を図りました。

 その結果、当社グループの当連結会計年度の売上高は546億8千7百万円(前年同期は410億6千5百万円)、 営業利益は37億3百万円(前年同期は24億7千2百万円の営業利益)、経常利益は40億5百万円(前年同期は27億2千万円の経常利益)、親会社株主に帰属する当期純利益は26億6千5百万円(前年同期は18億1千5百万円の親会社株主に帰属する当期純利益)となり、2019年2月に策定いたしました中期経営計画で掲げた業績目標の 経常利益30億円を上回りました。

セグメント別の業績の概況は次のとおりであります。

セグメント別の業績について

アパレル関連事業

 「日本」につきましては、主力ブランドである「マリメッコ」や「A.P.C.」が堅調に推移したことに加え、百貨店を主販路とするアパレルブランドの「キース」や「スキャパ」においても、お客様の外出機会が増加したことに伴い、夏物、秋物商品の販売が順調に推移しました。また9月より「イル ビゾンテ」においては新カテゴリーの「イル ビゾンテ ジュエリー」の販売を開始し、「A.P.C.」においては、「A.P.C.GOLF」 の販売をスタートさせるなど新たな事業展開を開始いたしました。EC事業においては、引き続き店舗とECとの在庫連携機能を強化するなどお客さまの利便性の向上に取り組み、会員向けポイントサービス「ルックメンバーシップ」の会員数が100万人を突破いたしました。これらの結果、売上高は239億9千4百万円(前年同期は210億7千4百万円) となりました。また、不採算ブランドの終了や不採算店舗の閉鎖などによる効率化を推し進めた結果、営業利益は17億7千2百万円(前年同期は11億3千3百万円の営業利益)となりました。

 「韓国」につきましては、新型コロナウイルス感染症の感染者数が減少傾向となっており、株式会社アイディールックにおいて、店舗や自社ECサイト「I.D.LOOKモール」での販売が好調に推移し、主力インポートブランド「サンドロ」や「マージュ」において売上高が増加したことに加え、2月より「A.P.C.GOLF」の販売をスター トした「A.P.C.」が好調に推移したことなどにより増収増益となりました。また、株式会社アイディージョイにおいても、規制緩和に伴い店舗への来店客数が増え、売上高が増加いたしました。その結果、売上高は283億8千1百万円(前年同期177億5千6百万円)、営業利益は27億5千3百万円(前年同期は18億9千3百万円の営業利益)となりました。

 「欧州」につきましては、イタリアやフランスの直営店舗では、域内の観光客が戻り売上高が増加したことに加え、主力の卸売事業も堅調に推移した結果、売上高は43億9千1百万円(前年同期は39億3千2百万円)となりましたが、ウクライナ情勢の長期化による資源価格高騰などコストの上昇もあり、営業利益は1億2千7百万円(前年同期1億6千8百万円の営業利益)となりました。

 「その他海外」(香港・中国・米国)につきましては、米国において、新型コロナウイルス感染症の行動制限 の緩和が続く中、「イル ビゾンテ」の小売事業、卸売事業とも売上高が増加いたしました。その結果、売上高は4億5千2百万円(前年同期は4億1千6百万円)、営業損失は9千9百万円(前年同期は1億7千7百万円の営業損失)となりました。

 これらの結果、アパレル関連事業の売上高は572億1千9百万円(前年同期は431億7千9百万円)、営業利益は45億5千4百万円(前年同期30億1千7百万円の営業利益)となりました。

生産及びOEM事業

 「生産及びOEM事業」につきましては、株式会社ルックモードにおいて、主に外部受注が増加したことなどにより、売上高は23億4千7百万円(前年同期は22億3千5百万円)、営業利益は2千4百万円(前年同期は2千万円の営業損失)となりました。

物流事業

 「物流事業」につきましては、株式会社エル・ロジスティクスにおいて、主に外部売上が減少した結果、売上高は11億9千4百万円(前年同期は12億4千8百万円)、営業利益は4千7百万円(前年同期は8千1百万円の営業利益)となりました。

飲食事業

 「飲食事業」につきましては、「ジェラテリア マルゲラ」において、行動制限が緩和されたことに伴い、店舗での売上高は増加いたしましたが、宅配サービスなどの売上高が減少した結果、売上高は5千3百万円(前年同 期は5千6百万円)、営業損失は2千7百万円(前年同期は2千5百万円の営業損失)となりました。

2023年12月期の見通しについて

売上高 550億円
営業利益 38億円
経常利益 41億円
親会社株主に帰属
する当期純利益
28億円

 2023年度のわが国経済の見通しにつきましては、新型コロナウイルス感染症の影響が緩和し景気は緩やかに回復していくことが期待されるものの、資源価格や原材料費の高騰に伴う物価の上昇や為替市場の動向、海外経済の減速懸念など、依然として不透明な状況が続くことが予想されます。

 新型コロナウイルス感染症は、当アパレル・ファッション業界においても生活様式や消費者の価値観に変化を もたらし、消費者ニーズの多様化が進んでいます。

 これらの環境の変化に対応するため、当社グループは、景気の変動に左右されないブランド価値を確立し、さ らなる売上の拡大を図ってまいります。併せて、厳しい経営環境においても持続的に利益を創出できる収益性のあるブランド事業に経営資源を効果的に投資してまいります。

 中期経営計画(2019年~2023年)の最終年度となる2023年度12月期の連結業績につきましては、中期経営計画で掲げた業績目標の連結経常利益30億円を上回る、連結売上高550億円、(前年同期比0.6%増)、連結営業利益は38億円(前年同期比2.6%増)、連結経常利益は41億円(前年同期比2.3%増)、親会社株主に帰属する当期純利益 は28億円(前年同期比5.1%増)を見込んでおります。